エッセー

北海道新聞夕刊掲載記事2006/06/13

鞄に夢をつめこんで

 一年に1、2回は飛行機に乗り、仕事やプライベートで旅に出る機会がある。バスや電車、地下鉄など、交通におけるバリアフリーも少しずつは改善されつつあるだろう。札幌市内の地下鉄の駅にもずいぶんねエレベータが設置され利用しやすくなった。

 その交通アクセスの中で最も遅れているのが飛行機の旅、機内のバリアフリー化ではないかと最近つくづく思う。車いすの友人は、車いすから降りて着ないの座席に乗り移るのがとてもしんどいと話していた。車いすのまま乗り込めるスペースがあれば、どんなに便利だろうか。

私の場合、剤が取れないので座席を倒した堰の上にストッレッチャーを乗せてそこに寝たままで乗る。十一―十二席を使う為、三席分の料金を取られてしまう。 どんなに空席が多くてもそれは変わらない。例えば東京へ行くとして、今の一般料金なら往復三万円で行けるところを、私一人でその四倍の十二万円もかかる。

何度も航空会社に要望したり、話し合いを持ったりしているが、「航空会社の負担は限界である。国の補償を求めるべきだ」との返答しかない。運賃の割引合戦がこれほど盛んに 行なわれている中、なぜ重度障害者がこんなに高額な運賃を払わなければならないのか私にとってはこの世の七不思議の一つである。―と、この件について話し出すと怒りが収まらず、止まらなくなる。

でも、やっぱりどんな困難があろうとも旅はいい。料金が高額でも、乗り心地が悪くとも、それでも私が旅行鞄につめこむのは、理不尽な社会へのため息よりも。これから出会う風景や見知らぬ人々への「はじめまして」というときめき、わくわくした気持ちばかりである。

(佐藤きみよ)


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